ユーザーの個人情報をめぐり、Apple社とFBIの対立が鮮明に。

アップル社とFBI、個人情報提供で対立-個人情報保護ニュース&コラム、2016年02月18日の日経から。

アップル社とFBIが個人情報の公開について対立が鮮明に。

FBIは、アップル社に対して個人情報をより簡単に抜き取れる仕組み(バックドア)
の導入を要求しているが、アップル社はこれを拒否していることが報じられた。

事の発端は、昨年12月、カルフォルニア州で起きたテロ事件の際に、
アップル社のiPhoneのセキュリティを破れなかったためだという。
アップル社社長はこれを拒否しているとのことだ。

個人情報保護法の観点から
米国では賛否両論らしいが、個人情報保護法の観点から、この記事を見てみよう。
そもそも、個人情報保護法は、政府や行政機関の行動を縛る法律であり、
保護と利用のバランスをとる法律である。個人情報を保護する義務がある企業は、
法に則って個人情報を管理する手順を定める必要がある。

しかしながら、他の法律の要求がある場合、個人情報を提供する可能性があることも事実だ。
したがって、アップル社のように行政機関並みに個人情報を保有している企業の場合、
犯罪に使用されていることが明確にわかっているような状況であれば、個別に個人情報を提供することもあるはずだ。

ところが、今回のFBIの要求は、テロに使用されて可能性がある段階で、
個人情報を提供することができるようにするものと思われる。これは非常に驚異的だ。
そして、現在の法律ではおそらく許されていない行為であろう。
こんなことができてしまえば、世界中のiPhoneユーザーの個人情報がFBIが見たいときに見れることになってしまう。
当然、世界中のユーザー離れは避けられない。
現在のこのような仕組みを導入するのであれば、新しい法律の枠組みが必要であろう。

米国の大統領選挙戦でも議論に。
一方、米国では大統領選挙戦の真っ最中であるが、
何かと注目されているドナルド・トランプ氏はここでも注目されている。
彼は、テロとの対策を踏まえて、バックドアが導入できるよう法整備をしようとしているとも報じられているようだ。
法律が導入されると、さすがのアップル社も個人情報を提供せざるをえなくなる。
iPhoneは魅力的な商品だが、そんな法律が制定されてしまえば、手放さないといけないかもしれない。

非常に残念である。